■はじめに

株式会社を設立するには、まずは会社の概要を決めて、発起人を決定します。株式会社の設立には、発起設立と募集設立があります。

大まかには、発起設立は発起人が会社の設立に際して発行する株式の総数の全部を引き受けるという設立で、募集設立は、発起人が株式の一部だけを引き受け、残りを発起人以外から募集するという設立です。
募集設立の場合、発起設立と違い株式払込保管証明書が必要だったりなど手続きが複雑なものとなるため、小さな会社は発起設立の方が向いています。
以下は発起設立について説明します。

■発起人の決定

株式会社の設立手続きは、発起人による定款作成作業から始まります。
そのため、まずは発起人を決定します。発起人は、会社の設立を企画して定款に署名又は記名押印をして設立手続きをする人をいいます。

■会社の概要を決定

発起人が決定しましたら、次に商号や本店所在地、会社の目的など会社の決定事項を決めていきます。会社の商号が決まったなら、会社の代表者印を発注します。

■印鑑証明書の取得

そして、印鑑証明書を取得しますが、定款認証に必要な発起人の印鑑証明書が必要であり、また、取締役会のない場合、取締役全員の印鑑証明書が必要だったりしますので、必要な分を取得します。
印鑑届書に添付する個人の印鑑証明書、定款認証に添付する印鑑証明書は三カ月以内の制限がありますのでご注意下さい。
また、印鑑証明書は本人確認証明書としても使用できます。

■定款の作成

定款とは、会社の組織や運営に関する規則を定めたものです。発起人全員によって作成をしたうえで、署名又は記名押印をして公証人の認証を受けます。
定款には絶対的記載事項がありまして、目的、商号、本店所在地、設立に際して出資される財産の価額又はその最低額、発起人の氏名及び住所、発行可能株式総数が挙げられます。これらのことが定款に記載されていなければなりません。

■定款の認証

定款は公証人から認証を受けることで法的な効力を持ちます。電子定款でない場合、定款は3通用意してそのうち1通に収入印紙を貼っておき、その定款は公証役場に保管されます。残りの2通は返却されます。

テレビ電話による電子定款の認証

テレビ電話による認証制度とは、株式会社や一般社団法人、一般財団法人及び各種法人の電子定款並びに電子私署証書について事務所にいながら公証人とテレビ電話を通じて、面談を行い、電子定款及び電子私署証書の認証を行うというものです。

定款認証のために前もって定款の内容など公証人による確認が必要です。テレビ電話で定款認証を行ってもらうには事前に書類を公証役場に送っておく必要があります。

定款認証の委任状を公証人に送付する方法として、電子署名の付された電子委任状を送信する方法や委任者の実印が押された委任状と印鑑証明書を郵送する方法によって行うことが可能です。

テレビ電話によって定款認証ができるのであれば、遠方の公証役場に行かなくても発起人からの委任状を事前に公証役場へ郵送しておくことで手続きができますので、かなり便利かと思います。

オンラインによる定款認証及び設立登記の同時申請

令和3年2月15日から、定款認証の嘱託及び設立登記の申請をオンラインで同時に行うことが可能となりました。この場合は定款もオンライン認証を行うことが原則のため、電子定款を作成する必要があります。役員等が5人以内であることや、添付書面が全て電磁的記録で作成されているなど一定の条件を満たせば24時間以内に登記が完了します。

〇 電子定款認証の嘱託

■金融機関に資本金の払込み

払込証明書は、発起人が出資金を払い込んだことを証明する書類です。払込証明書には、設立時発行株式数と払込みを受けた金額を記載します。
発起人が複数であっても、合計金額を記載します。そして、当該書面には法務局へ届け出る印鑑にて押印し、通帳の表紙、その裏面、振込がなされているページのそれぞれをコピーします。

■設立登記申請書の作成と申請

なお、会社設立時には株主リストは不要ですが本人確認証明書は必要です。取締役等の本人確認証明書には、住民票の写し、戸籍附票、住基カードやマイナンバーカードなどがあります。

定款で、本店所在地を最小行政区画までしか決めていないという場合、地番まで本店所在地を決める必要があります。そのため、発起人会議事録を作成して、本店所在地を地番まで決定します。

その他、添付する書類としては、現物出資があれば設立時取締役及び設立時監査役の調査報告書や附属書類など申請書に添付します。印鑑届書、印鑑カード交付申請書も提出します。

印鑑届書は、会社の実印を登録するもので、3カ月以内の個人の印鑑証明書を添付しますが、登記申請のものを援用することもできます。