無権代理と相続

無権代理とは、代理権がないのに勝手に本人に代わって法律行為をすることをいいます。例えば、本人が車が欲しいと言っただけなのに、勝手に他人が自動車を本人名義で購入してしまったなどの場合が該当します。この場合は、無権代理行為は無効とされます。

ただし、無権代理がなされたとしても、本人にとって有利なことがあります。その場合、本人が追認することで無権代理行為を有効な代理行為とすることができます。
追認をすることで、その行為時に遡って有効なものとなります。

無権代理行為がなされた後、追認あるいは追認拒絶がなされる前に本人が無権代理人を相続し、または無権代理人が本人を相続したような場合、どうなるかという問題があります。

無権代理人が本人を単独相続した場合、無権代理行為は当然に有効となります。無権代理人がたまたま本人を相続した場合に、履行を拒絶できるとなると信義則に反してしまうからです。

本人が無権代理人を単独相続した場合、無権代理行為が当然に有効となるわけではなく、本人は、無権代理行為の追認を拒絶できます。ですが、無権代理人の履行または損害賠償の責任を相続により承継することになります。

無権代理人が本人を他の共同相続人とともに共同相続した場合は、共同相続人全員が共同して追認しないと、無権代理人の部分でも有効とはなりません。

もし、無権代理行為が無効となりますと、相手方からすると、せっかくした契約が無効か有効なのか不安定な状態となるため、相手方には催告権と取消権が認められています。

相手方は、本人に対して追認するかどうかというのを催告できます。また、善意であった場合(知らなった場合)、相手方の方から取消をすることができます。

民法

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