特例有限会社というのは、会社法施行後に商号中に有限会社の文字を用いたまま、会社法上の株式会社として存続している会社です。

特例有限会社は、商号中に有限会社の文字を用いなければならず、機関構成としては、株主総会以外に取締役、監査役、清算人しか置くことができないとされています。

また、取締役及び監査役の任期について定めがなく、みなし解散もありません。他にも特例有限会社としての特徴がありますが、この特例有限会社も商号中に株式会社の商号を用いる商号変更ができます。

手続きとしましては、株主総会の特別決議により商号変更の定款変更の後、商号変更後の株式会社設立の登記及び特例有限会社の解散の登記を同時に行います。ただし、本店移転登記は、登記の連続性が確認できないため同時に行うことはできません。

そして、通常の株式会社へ移行することで取締役会を設置したり、会計参与を設置したり機関設計が柔軟になります。また、株式の譲渡制限に関する定めを廃止して、公開会社となることもできるなど移行のメリットもありますが、役員の任期が定められ、みなし解散の規定が適用されるなどデメリットもありますので、よく検討して移行する必要があります。

この移行の登記の際に、特例有限会社の印鑑カードは法務局へ返納します。株式会社の代表取締役の印鑑提出が必要となるため、印鑑届書と印鑑カード交付申請書を添付する必要があります。