宗教法人

宗教法人とは、宗教法人法の規定により設立し、宗教法人法2条の要件を備えた宗教団体が設立登記をすることによって成立した法人です。 法人格を取得しますと、税制上は非課税等の優遇措置が受けられ、また法人となることで法人名義の財産については代表者の交代があったとしても所有権移転等の手続きが不要となります。 このように永続性もあるうえに、宗教法人では公益事業のほか、目的に反しない公益事業以外の収益事業を行うこともできます。 宗教法人は、さらに単位宗教法人と包括宗教法人とに分類されますが、単位宗教法人は礼拝の施設を備える神社、寺院、協会、修道院その他これらに類する団体であり、包括宗教法人はといいますと団体を包括する教派、宗派、教団、教会、修道会、司教区その他これらに類する団体をいいます。このように大きく二つに分けられるのです。

所轄庁

宗教法人は、設立時に規則を作成し、公告等の手続きの後に所轄庁から認証を受けていますが、この規則の変更は所轄庁の認証書の交付を受けて効力が生じます。 ですから、所轄庁は宗教法人設立後も関わってくることがあり、これには都道府県知事と文部科学大臣とがあります。 都道府県知事が所轄庁となるのは、主たる事務所が当該都道府県内にある宗教法人であり、他の都道府県にも境内建物があるのであれば文部科学大臣が所轄庁となります。 ただし、文部科学大臣が所轄庁となっている宗教法人であっても登録免許税非課税の手続きをする際は、境内地又は境内建物所在地の都道府県にて手続きを行う必要があります。

宗教法人の機関

代表役員 宗教法人法18条には、3人以上の責任役員が置かれ、そのうち1人を代表役員とすると規定されています。代表役員は、宗教法人を代表してその事務を総理する者であり、規則に別段の定めがなければ責任役員の互選により定めます。 責任役員 責任役員は、宗教法人にとって代表役員と同じく必須であり、3人以上の責任役員を設置しなければなりません。 そして、責任役員会で構成されますが、宗教法人の事務は規則に別段の定めがなければ、責任役員の定数の過半数で決し、各自の議決権は各々平等とされています。 代務者 代表役員及び責任役員は宗教法人にとって必須の機関ですが、何かしらの理由で欠けてしまった場合、法人の活動に支障がないよう代務者という制度があります。規則に定めるところに従い、選任される者で代表役員又は責任役員に代わってその職務を行います。 総代、総代会 宗教法人法上に規定のない任意的機関として、総代及び総代の集まりである総代会を置いている場合があります。 総代とは、宗教団体の信者を代表する者のことで、神社では氏子総代、寺院では檀家総代といったりします。 境内建物、境内地とは 境内建物、境内地とは宗教の教義を広め、儀式行事を行い、信者を教化育成することを目的とする建物、工作物及び土地のことをいいます。 このうち、境内建物とは本殿、拝殿、本堂、会堂、僧堂、僧院、信者修行所、社務所、庫裏、教職舎、宗務庁、教務院、教団事務所その他宗教法人が宗教の教義をひろめ、儀式行事を行い、信者を教化育成するという主たる目的のために供される建物及び工作物であり、その建物及び工作物が宗教法人の主たる目的のために必要なものであり、かつ当該宗教法人にとって固有のものとされています。 次に、境内地とは、境内建物が存する一画の土地、参道として用いられる土地、宗教上の儀式行事を行うために用いられる土地、庭園、山林その他尊厳又は風致を保持するために用いられる土地、歴史、古記等によって密接な縁故がある土地等で宗教法人の主たる目的のために必要な土地であり、かつ当該宗教法人にとって固有のものとされています。

宗教法人の事務(法第19条)

宗教法人の事務は、規則に別段の定めがなければ、責任役員の定数の過半数で決し、その責任役員の議決権は各々平等とされています。 事務の例としては、予算編成、予算の追加、変更、財産目録や貸借対照表、収支計算書等決算承認、特別財産基本財産の設定や変更、不動産や重要な動産の取得、処分、担保提供、その他重要な行為、主要な境内建物の新築、改築、増築、模様替え、用途変更などがあります。 処分する場合(法第23条) 宗教法人が所有する財産は、信者からの寄付によるものもあり、そのうち宗教活動に必要なものがあります。そこで、宗教法人法23条にてそれらの財産を適切に管理し、運用されることが求められています。 これには、不動産又は財産目録に掲げる宝物を処分し、担保に供することや借入又は保証をすること、主要な境内建物の新築、改築、増築、移築、除却又は著しい模様替えをしたりすることなど列挙されています。 単位宗教法人は、これら法第23条各号の行為をしようとするときは、規則で定める議決機関の決議により、規則に別段の定めがないときは、責任役員の定数の過半数で決するほか、その行為の少なくとも一カ月前に信者その他の利害関係人に対し、その行為の要旨を示して、その旨を公告するよう義務付けられています。

宗教法人の登録免許税非課税

宗教法人が取得した土地、建物が専ら宗教本来の用に供されている境内地、境内建物に該当することから登録免許税を非課税とする制度があり、関係諸官庁に申請が必要となります。 これには境内地と境内建物で添付書類が異なりますが、証明を必要とする理由書、売買契約書等の権利関係を証する書類、責任役員会議事録、法人規則で定めた手続き等を行ったことを証する書類の写し、物件の位置図や地図、写真などが必要となります。

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