契約というのは、当事者の申込みと相手方の承諾という意思表示の合致によって成立します。ですから、契約をしますと容易に解消することはできなくなります。

ただし、契約の解除ができる場合に該当しますと、解除によって契約は初めに遡ってなかったことになります(直接効果説)。

解除というのは、契約が締結された後に、当事者の一方からの意思表示によって、契約が初めからなかったのと同様の状態に戻す制度のことをいいます。これには約定解除と法定解除があります。

約定解除は、当事者間で決めた契約の内容で解除権が発生します。これは、お互いで決めた条件を満たすことで解除ができます。

これに対して法定解除は、法律の規定によって解除権が定められていまして、債務不履行による解除、担保責任による解除や事情変更の原則によるものなどがあります。

これらに対して、解除権ではなく、当事者同士で契約を解除することを合意解除といいます。これは当事者の一方的意思表示ではない点で解除とは異なります。

法定解除、約定解除での解除の意思表示は、形成権といわれるもので相手方に対する一方的な意思表示によって行われます。その意思表示が相手方に到達することで解除の効力が発生します。実際には、配達証明付きの内容証明郵便によって行います。

また解除権は不可分であるため、当事者の一方が数人ある場合には、契約の解除はその全員から又はその全員に対して行います。

解除により登記名義を戻す方法としては、所有権抹消登記によるものと、所有権移転登記によるものがあります。抹消するのに登記上の利害関係人がいて、その者の承諾が得られないといった場合、所有権移転登記により登記名義を戻すという方法が使われることがあります。

ちなみに登記原因は、合意による解除であれば「合意解除」であり、法定解除や約定解除によるのであれば「解除」を用います。

なお、農地の場合、合意解除であれば農地法上の許可書が必要なのに対して、法定解除の場合には必要ではありません。