相続放棄と遺品整理

近年は,故人の財産が少なかったり,借金といったマイナスの債務を抱えて故人が亡くなるということもあり,相続放棄をするケースが増加しているといわれています。また,故人が住んでいた家が空き家となり,その空き家の処分が困難だからと相続放棄する人も増えています。

相続人は相続開始の時から、被相続人の一身に属したものを除き、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継します。

相続人は一定の期間内に単純承認、限定承認、放棄のいずれかを選択する権利があります。期限がありますので、相続開始後の慌ただしい時に冷静な判断をするのは難しいかもしれません。その場合、家庭裁判所にて期間伸長の手続きもあります。

なお、相続放棄をすると,はじめから相続人でなかったことになりますが,相続放棄した者が故人の市場価値のある遺品を処分してしまうと単純承認したとみなされ,相続放棄が覆されてしまう可能性もありますので注意が必要です。

この相続財産の処分とは,遺産を故意に壊してしまったり,譲渡をしたりすることも含まれます。

そして,相続人全員が相続放棄をしたとすると,ケースによっては家庭裁判所にて相続財産清算人の選任申立が必要な場合があります。

なお,相続放棄をすると,故人との関係で相続人でない者は勝手に故人の遺品を処分することができなくなります。故人の相続人ではなくなるため,故人の所有物を処分する権利が無くなるからです。

相続放棄するケースは,今後も増加してきますので,遺品整理を行う際には民法921条の法定単純承認との関係も注意しておく必要があります。そのため,相続放棄も検討しているのであれば,法定単純承認を念頭に置いておかなければなりません。

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