介護保険の住所地特例

介護保険制度では,住民票がある市町村の被保険者となる住所地主義を原則としています。しかし,介護保険施設に入所する被保険者は,他の市町村から施設のある住所地に住所を移転することがあります。もし,住所地主義に従った場合,入所施設が多い市町村に高齢者が増えて,介護集中が起きてしまい財政上の不均衡を生じます。

このような問題を防ぐため,介護保険制度では被保険者が他の市町村の施設に入所して住所を移したとしても,以前の住所地の市町村を保険者とする特例措置をとっています。これが住所地特例といわれるものです。

住所地特例では,介護保険料は前住所地の市町村に支払うほか,要介護認定や介護給付も前住所地の市町村から受けることとなります。

例えば,A市を住所地とする利用者がB市にある施設に入所すると保険者は,A市となります。もし,A市を住所地とする利用者がB市の施設に入所していましたが退所してC市へ住所地を移転するとC市が保険者となります。

住所地特例の対象となる施設は,①介護保険施設②特定施設③養護老人ホーム④軽費老人ホームとあります。

・介護保険施設には地域密着型介護老人福祉施設を除いた介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム),介護老人保健施設,介護療養型医療施設があります。

・特定施設には,有料老人ホーム,養護老人ホーム,経費老人ホーム,適合高齢者専用賃貸住宅があります(地域密着型特定施設は除く)。

・養護老人ホーム(老人福祉法の入所措置がとられている場合)

があります。

なお,特別養護老人ホームや介護老人保健施設,介護療養型医療施設などの介護保険施設では要件を満たすことで,介護保険の負担限度額認定証を利用することができ、住居費や食費を安く抑えられます。所得や預貯金などの基準を満たしたうえで申請をすることによって負担限度額認定が受けられますが,更新を忘れないよう注意が必要です。

似たものに健康保険で,限度額適用・標準負担額減額認定があり,入院したときに食費及び65歳以上の人が医療療養病床に入院した時の食費,居住費の負担が抑えられます。

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