任意後見と法定後見

成年後見制度とは、認知症や知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方を支援し、人間として尊厳をもって生活して頂くための制度です。
成年後見制度には、法定後見と任意後見とがあり、大きな違いとしては、任意後見では判断能力が低下する前に、自分の希望する人を後見人として選ぶことができるのに対して、法定後見では判断能力がすでに低下している状態で、家庭裁判所が後見人を選任するという点があります。
また、後見人の報酬は任意後見では当事者同士で決めるのに対して、法定後見では家庭裁判所が決めます。

任意後見

任意後見の場合、居住用不動産である自宅の処分にあっては、家庭裁判所の許可は不要で任意後見監督人の同意も不要となります。これに対して、法定後見では家庭裁判所の許可及び後見監督人が選任されていれば監督人の同意が必要となるという点で異なる面があります。
任意後見制度は、自分が元気なうちに前もって契約しておくことができますので本人の希望に沿った内容にすることが可能です。ただし、法定後見と異なり、取消権が無いという注意点があります。
任意後見では、支援をしてくれる人と前もって支援内容を決め、任意後見契約をしておきます。
「任意後見契約に関する法律」によって、任意後見契約を締結する場合は公正証書で作成するというのが条件となっています。
なお、任意後見契約の内容は、当事者(本人と受任者)で決めることができ、誰を任意後見人にするか、その任意後見人にどういった代理権を与えるかというのも契約によって決めることができます。
任意後見人には本人の意思を尊重するという責務があります(任意後見法6条)。
そのため、本人が延命措置を望まない尊厳死宣言があればその旨を尊厳死宣言公正証書として任意後見人に託すこともできます。

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