強制執行とは、債務名義である公文書に表示された債務者に対する請求権を裁判所が強制的に実現する手続きです。

 民事での紛争は、話し合いで解決しない場合、民事訴訟等の手続きにて解決を目指します。

民事訴訟等によって、判決や支払督促、調停調書及び和解調書、審判書などができると債務名義が得られます。

債務名義(さいむめいぎ)は強制執行を行う際に必要となりますが、強制執行として他には担保権の実行、形式的競売があります。

強制執行は大きく金銭執行と非金銭執行とに分けることができ、金銭の支払いを目的とする金銭執行は、金銭そのものか換価できる財産を現金に変えて、支払いを受けます。

非金銭執行は、金銭の支払を目的としない物の引渡請求権や作為、不作為債権の執行などについての強制執行をいいます。

金銭の支払いを目的とする強制執行には、不動産、動産や債権、その他の財産に対する強制執行があります。

そして、強制執行には債務名義が必要となりますが、それだけではなく、申立前にいくつか準備するものがあります。原則としては、債務名義の送達証明書、そして債務名義の末尾に執行文を付けてもらうことが必要となってきます。

債務名義

債務名義とは、例えば判決正本、和解調書、調停調書などが該当します。

送達証明書

送達証明書とは、執行機関が手続きを進めるためには債務名義を債務者に送達しておかなければならず、その送達を証明するものをいいます。

執行を受ける債務者に、どのような債務名義に基づいて強制執行されるかをあらかじめ知らせるために必要とされています。

和解調書や調停調書、認諾調書は職権で送達されないため、忘れずに送達申請をしておきます。

執行文

執行文とは、債務名義に執行力が存在するということを証明する文書で、つまりその債務名義に基づいて執行が可能であると記載された公文書をいいます。強制執行ができることを確認する手続きとして執行文の付与というものがあります。

執行文の付与は、確定判決、仮執行宣言付判決、和解調書の場合については、執行文はその事件の記録を保管している裁判所の書記官によって行われます。

この執行文には単純執行文と承継執行文、条件成就執行文の3種類があります。そして、執行文の種類によっては執行文の送達証明書も別途必要となることがあります。

債務名義(判決書や和解調書など)に執行文を裁判所で留めてもらいますので、執行文付与申請書と判決正本などを一緒に提出します。郵送であれば返信用封筒も添付します。

司法書士は強制執行手続き(少額訴訟債権執行を除く)については申立代理人となることができませんが、書類作成というかたちでお手続きをすることが可能です。