自己破産手続きにおいて、自動車のローン会社が自動車を引き上げる場合があります。この場合、車のローンが残っており、ローン会社が所有権留保として別除権を行使し、自動車を引き上げます。

別除権というのは、破産手続きによらずに優先的に行使できるもので、抵当権や所有権留保などの担保権が挙げられます。
破産手続開始において別除権として認められれば、自動車の引き上げが認められ、ローン会社は優先的な弁済を受けることができます。

ただし、普通自動車については登録によって対抗要件を具備するため、要件を満たした登録がなされているかどうかが、破産管財人に対して別除権を主張できるのかどうかという問題と関わってきます。
自動車の対抗要件としては、道路運送車両法第5条に規定があり、登録が必要ですが、軽自動車は除かれています。

軽自動車の対抗要件は普通自動車と違い、登録ではなく引渡しとされ、これには占有改定(せんゆうかいてい)も含まれます。

占有改定とは、買主が目的物の動産を所持したまま、売主が占有権を取得するというものです。
軽自動車の対抗要件として占有改定が認められたものが名古屋地裁平成27年2月17日判決です。
この場合、契約書には占有改定の条項が定められたか否かではなく、当該契約書の条項全体などの内容によって、総合的に判断すべきとされています。
もし、所有権留保の対抗要件がなく、破産手続が開始しているのに自動車を引き渡すと偏頗弁済となる可能性があります。