この制度では、遺言者は自分で自書した遺言書を管轄の法務局に持参し、保管を申請することができます。
自筆証書遺言は、相続開始後に見つからなかったり、紛失、隠匿や破棄されるなどのおそれもあることから、新たにこの制度が創設されました。
自筆証書遺言の保管制度では、遺言者本人による申請が必要で、法務局に遺言書の原本が保管され、その画像データが保管されます(法務局における遺言書の保管等に関する法律第1条、6条、7条)。
この申請の際には、遺言者本人が遺言書と保管申請書を持参して行いますので、代理人によって申請することはできません。

申請書には、遺言作成年月日、遺言者の氏名や生年月日、本籍、受遺者や遺言執行者を記載して遺言書保管官に提出します。この制度の申請をすることができる者は、日本国内に住所若しくは本籍を有し、又は不動産を所有している者で国籍は問われません。
保管申請時は、運転免許証などの本人確認書類を持参のうえ、遺言者本人しか申請できず、他人が代理で保管申請をすることはできません。遺言書保管官は、遺言者が持参した遺言の適合性を確認して受付をするため、遺言書は封をせずに持参する必要があります。
遺言書保管官は、保管をする遺言の形式が適合しているかどうかを確認しますが、遺言書の内容が有効かどうかまでは確認しませんのでご注意下さい。
そして、遺言書保管ファイルには、遺言書の画像情報、遺言書の作成年月日、遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍、遺言執行者の氏名、住所、保管を開始した年月日や保管番号などが記録されます。
もし、遺言書の閲覧や撤回をする場合、遺言者が自ら法務局に出頭して行う必要があります。
相続開始後は、相続人等が遺言書原本の写し(遺言書情報証明書)の交付や閲覧を請求することができます。
なお、この制度によって保管されている遺言書については検認を要しません。
この遺言書情報証明書を使って相続登記や銀行預金の手続きを行います。遺言書情報証明書が交付申請されますと、遺言書保管官は相続人全員及び受遺者、遺言執行者に通知をします。この通知をするには相続人全員の戸籍一式が必要となるため、検認は不要となっても戸籍集めをして、さらに相続人全員に通知が行われます。
司法書士は、遺言書保管の申請書を作成することができますので、どうぞご相談下さい。