不動産についてはそれが信託財産であるかどうか登記をもって他の第三者に対して主張することができます。
例えば、Aさんの不動産を受託者Bさんに信託して任せるということになりますと、受託者への所有権移転及び信託登記を行います。
所有権移転登記だけですと、それが信託されたかどうか分かりません。そこで、所有権移転登記と同時に申請します。
信託による所有権移転登記は委託者Aさんと受託者Bさんの共同申請で行います。登記の目的が「所有権移転及び信託」となります。
Bさんは権利者兼信託登記申請人で登記の義務者が委託者Aさんです。
この場合の登録免許税は、実質移転はしないので登録免許税法第7条第1項第1号により非課税です。
次に信託の登記は、受託者であるBさんが単独にて行えます。登録免許税は不動産の課税価格に1000分の4を乗じたもの(登録免許税法別表第1,1,(10)イ)。土地については租税特別措置法72条1項2号で1000分の3です。

信託の登記には、信託財産の権利の移転を示す権利の移転登記と、財産が信託財産であることを示す信託の登記があり、信託に伴い受託者への所有権移転及び信託登記がされます。
信託を原因とする所有権移転登記は、権利者の表記が委託者から受託者に記録されます。
これにより、信託財産は受託者名義に変わりますが、受託者の個人財産とも別であることが登記で分かります。

 添付情報

1 登記原因証明情報
2 委託者の権利証(登記識別情報又は登記済証)
3 委託者の印鑑証明書(作成後3か月以内)
4 受託者の住所証明情報
5 委託者、受託者の委任状
6 信託目録に記載すべき情報

登記原因証明情報
信託契約書を登記原因証明情報として使用しますと、利害関係者であれば登記に関係ない内容まで閲覧できてしまうため、報告形式の登記原因証明情報を作成し添付します。

信託目録に記載すべき情報
登記では信託目録に記載すべき情報に基づいて登記記録における信託目録が作成されます。そのため、信託契約書の内容をそのまま信託目録に記載してしまいますと、信託終了後の残余財産の帰属方法など公示すべきでない内容まで登記されてしまい、第三者に知られてしまうことになります。信託契約書の中から登記すべき事項を選んで記載します。