取締役会の廃止

 取締役会の設置は任意とされていますが、公開会社や監査役会設置会社、監査等委員会設置会社、指名委員会等設置会社には取締役会を置かなければならないとされています。

 取締役会は、設置する場合は登記事項であるためその旨を登記しなければなりません。

 もし、会社法施行前からある会社の場合、取締役会の設置が強制されていましたので、取締役会設置の旨が定款にあるものとみなされ、取締役会設置の登記が法務局の職権で行われています。

 なお、取締役会の設置が義務付けられていない株式会社において、取締役会を廃止する場合、株主総会特別決議によって定款変更をすることで取締役会を廃止することができます。

 実質、取締役一人で会社を運営しているのであれば取締役会を廃止した方が望ましいでしょう。

 取締役会を廃止した場合、株主総会で代表取締役を選定せず、または取締役の互選でも代表取締役を選定するとの定めを定款に設けなければ、各取締役が原則的には代表権を取得することとなります。そのため、代表取締役でなかった取締役について、「代表権付与」を原因とする代表取締役の登記を申請することになります。

 では、取締役兼代表取締役A,取締役B,取締役Cの3名取締役のいる株式会社において、取締役会の設置の定めを廃止すると同時に定款の規定に基づき取締役の互選によって代表取締役を選定する旨の定めを設ける場合についてはどう変更登記をすべきでしょうか?

 この場合、代表取締役Aを互選によって次の代表取締役として選定しますと取締役会の廃止前と後とで変更がありませんので、取締役及び代表取締役の変更登記は必要ないということになります。

 ただし、株主総会議事録には取締役会を廃止する旨の決議と、新たに代表取締役を取締役の互選で選定する旨の定めを設ける旨の決議を記載する必要があります。そして、登記申請書には取締役の互選書を添付します。

 取締役会を廃止する場合、気を付ける点としまして併せて次の登記をします。

1 取締役会の設置を廃止する際に、株式の譲渡等の承認機関が取締役会となっている会社はその承認機関を変更しなければなりません。この承認機関を株主総会や代表取締役等の他の機関に変更する登記も必要になります。

2 監査役会設置会社である場合、当該定めを廃止します。

3 監査等委員会設置会社である場合、当該定めを廃止します。

4 指名委員会等設置会社である場合、こちらも廃止する必要があります。

5 特別取締役による議決の定めがあれば、当該定めを廃止します。

6 役員等の責任の免除に関する定めがあれば、取締役会の決議による旨を取締役の過半数の同意による旨に変更します。

7 種類株式の具体的内容の決定について、取締役会決議による旨を株主総会決議による旨に変更します。

8 上記のように取締役会の廃止により取締役に対する代表権の付与

 また、併せて監査役も廃止する場合は、監査役廃止の登記及び監査役の退任の登記を申請します。

 監査役の任期は、監査役を置く旨の定款の定めを廃止する定款変更をした場合、当該定款の変更の効力が生じた時に満了します。

 そのため、監査役設置会社の定めの廃止の登記と同時に、任期満了による監査役の退任登記も申請することになります。

登録免許税について

 取締役会廃止分 申請1件につき金3万円(ワ区分)

 監査役設置会社の定め廃止および株式の譲渡制限に関する規定変更分

 申請1件につき金3万円(ネ区分)

 役員変更分

 資本金の額が1億円以下の株式会社で申請1件につき金1万円(カ区分)