死因贈与とは、死亡を条件とした生前の贈与契約です。遺贈が遺言による単独行為であるのに対し、死因贈与は贈与者と受贈者との契約となっています。

ところで、贈与というのは、当事者の一方が相手方に対して自分の財産を無償で与える意思表示をして、その相手方が受諾することによって成立します。

死因贈与については、その性質に反しない限り、遺贈に関する規定が準用されます。遺贈に関する規定が準用されているといっても、遺言では遺言者自身だけの意思によって遺贈をすることができますが、死因贈与については、贈与する側と贈与を受ける側とで契約をする必要があります。

死因贈与による名義変更

不動産の名義変更の手続きとしては、受贈者と登記義務者である贈与者の相続人全員か執行者が選任されていれば、その執行者とが共同にて申請をします。

添付書類としては、登記原因証明情報、登記識別情報又は登記済証、印鑑証明書、住所証明情報、代理権限証明情報が必要です。執行者の指定がある死因贈与契約書が公正証書であれば、その公正証書も必要となります。

もし、死因贈与契約書が私文書である場合、贈与者が捺印した実印の印鑑証明書または贈与者の相続人全員の承諾証明情報(印鑑証明書添付)が必要となります。

死因贈与の注意点としましては、税金面で遺贈より税率が高い場合があるということです。

死因贈与の税制面

不動産取得税については、遺贈の場合はというと、受遺者が法定相続人であれば不動産取得税は非課税となるのですが、死因贈与の場合は受贈者が法定相続人であっても不動産取得税が課税されてしまいます。

また、登録免許税では遺贈の場合、法定相続人に対しての遺贈は固定資産評価額の1000分の4ですが、死因贈与の場合は相続人であっても1000分の20という税率になります。
また、撤回できるかどうかという点で遺贈と死因贈与で違いがあります。
遺贈の場合、遺贈者が新たな遺言を作成すれば撤回することが可能です。遺贈に対して、死因贈与の場合は、贈与者の死後の財産の処分について遺贈と同様に最終意思を尊重するとあり、撤回が可能とされています。

しかし、負担付死因贈与となると、その負担を履行した場合は特別の事情がない限り撤回ができないと考えられています。受贈者の利益も考えての最高裁の判断です。

〇 死因贈与の仮登記