不動産の登記簿を取ってみると仮登記が記載されていたということが時々あります。

仮登記には大きく二つの種類があり、すでに権利の変動があって必要な書類が提供できない場合の105条1号仮登記と、まだ権利の変動は生じていないが請求権を保全したいという場合の105条2号仮登記です。

では、なぜ仮登記があるのかといいますと、不動産登記というのは対抗力を得るために行われるもので、登記は対抗力を得るためには原則として早いもの勝ちだからです。
そのため、先に登記をして、仮で順位を保全しておくために仮登記が行われますので仮登記には対抗力がないとされています。
そして、条件が整った際に本登記をしますと、仮登記をしたときに遡り、順位が保全されます。

1号仮登記と2号仮登記

105条1号の仮登記は、すでに権利変動は生じており、登記義務者の登記識別情報を提供できないとき、又は第三者の許可書、同意書、承諾書等が添付できないときにできるとされています。
ですから、実体上の権利変動があっても申請に必要な書類が準備できていないときに1号仮登記ができます。
例えば、農地法3条や5条の許可を得たとしても、当該許可書が所在不明等で提供できない場合に申請をするなどのケースが考えられます。
105条2号の仮登記は、物権変動はまだ生じていないが、将来において権利変動を生じさせる請求権が発生している場合に仮登記をすることができます。
また、請求権が始期付又は停止条件付、その他将来において確定すべきものである場合にも2号の仮登記をすることができます。
具体例としては、売買予約、代物弁済予約、始期付売買予約、農地法の許可を条件とする売買などがあります。

仮登記の申請手続き

仮登記の申請方法
1 共同申請
2 判決による仮登記権利者の単独申請
3 仮登記権利者が仮登記義務者の承諾書を添付して行う単独申請
4 仮登記仮処分命令の正本を添付して行う仮登記権利者の単独申請

通常は仮登記権利者と仮登記義務者の共同申請により行われます。添付書類としましては、登記原因証明情報、「所有権」を目的とする仮登記の場合は登記義務者である所有権登記名義人の印鑑証明書、代理権限証明情報を添付して行います。

〇 仮登記の本登記

〇 仮登記の変更・更正

〇 仮登記の抹消